あの呑み会は、私を味方に取り込むためにAさんが仕組んだワナ(手続、儀式)だったと考えるのが順当。
【行間】は、こんな感じです、たぶん。
【「あ~あ、怒っちゃった。こいつを敵に回したらこの案件ヤバイな。ここは一発締めておくか。」と、】Aさんは私を呑みに誘う。座席につくやいなや、私はやや不機嫌(だったと思う)に、
と、【案の定、甘ちゃんサラリーマンが知った顔して偉そうなこと言ってきやがった。】そしたらAさん【待ってましたと言わんばかりに】、
【と、ドスの利いた決め台詞をきわめて爽やかに言ってみる。(もちろんあんたのおかげもある。だからこうして盃を交わそうとしているのだよ。)おっかないことを爽やかに言うもんだから、基本的に小心者のエンジニアはますますキンタマ縮み上がって】
私は、言葉を失い、ただ一言、
するとAさん【の中では小さくガッツポーズ。こいつ、落ちた。もうここで帰ってもいいくらいだが、一応トドメをさしておくかっ、と】、
【「どんな手を使ってでもアンタらの給料確保してみせる」と免罪符を突きつけて、「アンタの自尊心を傷つける気は毛頭ない、アンタはアンタの仕事をやれ」と。この話はここまで。さて、呑もうか。】と、爽やかに店員さんを呼んだのでした。
おそらく、Aさんは最後にこういったハズ。
本人に聞いたわけではないが、十中八九、正解だろう。
反感というよりは、「Aさんったら、もー憎たらしいっ」とちょっと可愛げのある感情を覚えました。恋の一歩手前、といったところ。
私は、Aさんが言ってることは100%正しい、と理解し(私の思考回路で行間を書いたのだから、あたりまえなのですがw)、その後の彼との仕事は順調に気持ちよく完遂できました。
私が驚嘆したのは、Aさんが持っている、敵・味方・ポイントを把握する能力と、交渉力・和の力、実行力、などなど。やはり、自分には備わっていない神の様な能力がジンジンと溢れています。
30歳前後のちんちくりん(いや失礼、Aさんはそうとう凄腕だったと聞いている)でさえ、この程度の交渉は秒殺でやり遂げるのであって、ましてやその中の重役さんなんて、バケモノ中のバケモノに違いない。
そもそも営業さんの目下の課題は億単位のノルマと重圧であり、クレーマーに泣いて詫びるなんて朝飯前の人達で、そんな彼らにエンジニアの正論(クレーム、ワガママ)をバカ正直にぶつけてみたところで、痛くもかゆくもない。(エンジニアを華麗に巻くための必勝マニュアルがあるんじゃないか?とすら思う。)
営業から「おっしゃるとおりですね」と言われたくらいでホクホクしてしまうエンジニアの方が、よっぽどタチが悪いのです。
「こんな案件やりたくない」とか言ってみたり、客と勝手にケンカして案件をこじらせるエンジニアなんて、さっさと会社辞めてくれっ。と言いたいことだろう。
でも実は、Aさんのように、エンジニアと良いパートナーシップを結ぶために手を差し伸べるケースは多くて(あたりまえだ、ロストするわけにはいかないのだから)、自分可愛さに思わずソノ手を払いのけてしまうエンジニア。という構図の方が、わりと圧倒的に多いと思う。
・・と、当時そこまで考えたかどうか忘れたけれど、とにかく、
営業を敵に回したらおっかねーぞ!
と言いますか、営業が敵だと勝手に思い込んで、変質的ともいえる悪口言いつらねて、アドレナリンの放出先が見出せずに一人悶々としているのはエンジニア側なんであって、もちろん営業はそんなヤツは全く相手にしない。
そんなことに注ぐエネルギーがあったら「自分の仕事」を考えよう。
人身売買だの丸投げ体質だの、エンジニアのグチは聞き飽きたし言い飽きた。エンジニア全員が幸せになる業界大革命なんて、指くわえて待ってたって起きやしないんだから、せめて自分と自分が大切に思っている仲間の環境を働きやすくすることを考えなきゃいけません。
それは、「自分の仕事」なのでした。
そのためには多くの協力者が必要で、味方は増やさなきゃいけない。と気づいたのです。
やっと結論。
営業と対等に交渉できる腹黒いエンジニアになろう
と、私のピュアなエンジニア魂は、見るも無残に変わってしまいました。
というと、そうでもありません。
営業を味方にすれば、叩かれることはなくなるし、多少の弱音は許される。行きたくない打ち合わせに借り出されたとしても、ちょっとだけ相手の自尊心をクスぐってやれば、ムダに振ってくる仕事なんかも食い止めることができるのだから、コストバランスは最高に良い。
上司も「なんかあのチームはうまくやってるな」と放置してくれる。
まずはそういった諸々に費やす無駄なコスト(時間・体力・気力)は激減するから、技術的な課題に集中できる。
つまり、ミゾを埋めれば、余計な仕事は減る。
品管なり重厚長大なマネージメント論は、マズい状況にこそ猛威を奮うのであり、最初からうまくいってるプロジェクトを苛めたりしない。仮に血気盛んに乗り込んできたとしても、「貴方達も大変ですね」と(心底)ねぎらいの言葉をかけてみると、和気あいあいと良いレビューになる。
余裕ができる分、協力会社のプログラマにも技術教育とか優しく接することができるから、次の案件もお互いウェルカム。
・・・など。
精神衛生上、良いことづくめです。
ちょいと上層の人脈使って「あのチームはウマく事が運ぶらしいぞ」なんていう評判でも吹聴してもらえば、「赤字にならない秘訣(営業さんの琴線)はね、技術的にコレコレ然々、人材はコレコレ然々・・」と、初めて、エンジニアの正論を朗々と、営業さん達に向かって論じる舞台を用意してもらえるわけです。
エンジニアの殻を破ると、結果的に、エンジニアが得意な仕事に集中できる環境を作れる。モノは考えようです。
(こういうのをブレイクスルーっていうの?)
仕事は演技でやるものだ。という言い方もできる。
実直な正論いって「なんで聞いてくれないの?」なんっつて悲観するよりも、誰もいない夕焼けのブラインド越しにニンマリと悪い顔するくらいの方が、エンジニアの仕事だって面白い。と、思う。
ボクは結構楽しんだ。
もちろん、変化球ばかり磨いてもダメで、エンジニアとしての直球勝負はいつ何時でも繰り出せるように、日々鍛錬。これは忘れないようにしようと思います。