第14回 の追記

e-Japanがドライブした2つのこと。

前回、なんか大事なことを書き忘れたような気がしたので、再び。


 ベンダー依存のITを止めるためにオープンソースを使う

このことを政府が推進したのに対して、大手ベンダーはかなり困惑していたはずです。自治体は大手ベンダーにとって従来からの大口顧客ですし、製品は売れなくなるし。

一方、自治体は自治体で、政府が掲げる「J2EE、オープンソース、共通基盤」などのでっかいキーワードを、地場のSIerに委託しきれませんでした。技術的な実績が乏しかったし、なにより、規模が大きい。結局、委託できるのは、大手ベンダーしかいない。という矛盾が生じていたのです。

変な話ですね。

当時は、なんとかいい形にオトシドコロを見つけようと、関係者一同努力していました。そしていま振り返ると、e-Japanがドライブしていたことが、2つあるように思います。

地場ベンダーが変わった

1つ目は、地場ベンダーの自立。
前述の矛盾をどうにか解消しようと関係者が取った作戦は、「大手ベンダーが地場ベンダーのバックサポートに回る」ことです。自治体から見れば、地場ベンダーと取引をしていることになるので、政府の思惑通りにコトが進みます。

従来は、大手ベンダーがフロントで下請けが地場ベンダーになることが多かったはずですから、関係が逆転したわけです。しかも、地場ベンダーは、大手ベンダーからのノウハウを吸収して、自立することができる。
単なる奇策ではありません。将来を見据えた構造改革が進んでいたのです。そして、関係者はみんなハッピー。こういう動きは、これからもずっと続いていけばいいと思います。

大手ベンダーが変わった

もうひとつは、大手ベンダーのビジネスモデルの変化。

IT業界では、製品を売ることに専念するビジネスのことを「ハコ売り」といいますが、大手ベンダーは「ハコ売りでは食っていけないのではないか」という危機感を持つようになりました。なにせ、おカミがオープンソースの旗振りをはじめたのですから。


ちなみにハコ売りという言葉は、若干批判的な意味合いを含んでいるのですが、これをビジネスモデルとしている優良企業はたくさんありますし、それ自体を批判するのはナンセンス、だと私は思います。

そして、こぞって、オープンソース(Linuxやミドルウェア)をサポートすることを、高々とプレスリリースしていきます。この当時は、Linuxサポートがちょっとしたステータスのような感じでしたね。

で、モノで稼ぐことができなくなったのですから、何で金儲けをしていくのかといえば、「サービス」に力を入れざるを得ません。SI事業、コンサルティング、などなど、これまでメーカーやリセラーとして活躍してきた企業も、SIerに転身していきます。

この動きは、良いのか悪いのかわかりません。個人的には、
日本のメーカーがものづくりをやらなくなるのは寂しい・・・という思いはあります。


以上、e-Japanの巻は終わりです。


コメント
yusuke
2006/05/20
こんにちはyusukeです。
「地場ベンダーの自立」というのは、具体的にどういう試みがあったんですか?単に支援するといってもノウハウを移転するのはそれなりにたいへんですよね?

いま、ここらへんに興味があって、色々調べています。もし、なにか情報があればおしえていただければうれしく…。メールでもいいですが。

よろしくお願いします。
武田ソフト
2006/05/21
yusukeさん、こんにちわ。ありがとうございます。

大手ベンダーの設計開発標準規約は、従来、何千ページもある極秘資料。そのグループや下請けベンダーは、大手ベンダーから仕事を受注するのと引き換えに、その標準規約に縛られることになります。標準規約は、契約書よりも重い。

昨今の「オープン」の流れからして、まずそこから開放されて然るべきだろうと思います。妙な縛りつけがないノウハウ共有の感覚が身につけば、どこからでもノウハウを引っ張ってこれます。地場ベンダーには、この感覚とヤル気を身に付けてもらうことが、狙いとしてはありました。(製品ノウハウなどは、また別の話です。)

もっと具体的なことをご要望でしたら、メールさせていただきますので、よろしくお願いします。

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